版画 − あいだをつなぐもの

上田 佳奈 (ウエダ カナ)

大阪芸術大学附属大阪美術専門学校
コミック・アート学科 美術工芸コース(版画)2019 年卒業

ロンドン芸術大学C e n t r a l S a i n tMartinsでファッションデザインを、大阪芸術大学附属大阪美術専門学校で版画を学ぶ。日々の些細な断片や痕跡を採集し、版画、写真、映像などを用いて「うつし取る」ことで、日常を新たな視点から再解釈する手がかりとなる作品を制作している。

「第4 回京都版画トリエンナーレ」、京都市京セラ美術館、2025年
photo:Yoshitaka Orita

大学でファッションデザインを学んだ後、仕事をしながら制作を続けていましたが、自分の表現に限界を感じ、銅版画教室に通い始めました。講師をされていた山本善一郎先生の勧めで美専を見学した際、日下部一司先生の空気感と工房の自由な雰囲気に深く魅了されて、その日のうちに入学を決めました。入学後は先生方との対話を通じて、自己と向き合い、版画にとどまらず幅広い技法に触れることのできた、かけがえのない2年間となりました。版画の工程において、版を介してイメージが翻訳される面白さに惹かれ、卒業制作では版画や映像を組み合わせたインスタレーションを発表しました。塚本英世賞をいただき、制作を継続する大きな励みとなりました。

卒業後は印刷会社に働きながら制作を続け、初めて開催した個展では、鑑賞者によって作品の見え方が異なる面白さを実感しました。その後も展覧会を重ねる中で、より制作に力を注ぎたいと思うようになり、京都芸術大学のシルクスクリーン工房のスタッフとして声をかけていただいたことを機に退職。現在も作品制作や定期的な展示を続けながら、工房スタッフとして働き、美専や他大学で講師も担当しています。自分の原点である母校にもこうして戻れたことを、とても嬉しく感じています。

今年4月、第4回京都版画トリエンナーレで大賞をいただけたことは、今後の制作をさらに後押ししてくれる出来事となりました。これまでご指導くださった先生方や共に学んだ仲間、そして活動を応援してくださった方々のおかげで、ここまで来ることができたと心から感謝しています。作品制作は、私に新しい視点をもたらすだけでなく、多くの人や場との出会いも与えてくれました。私自身も、自分の活動を通していただいたご縁や学びを他の誰かにつなげながら、これからも版画や視覚表現の可能性を探り続けていきたいと思います。